小川です。
大島堅一先生(龍谷大学)を代表とする科研費プロジェクト「炭素制約と市場化の下での電力システム─その定量的評価と政策研究」での研究成果について、「競争的なΔkW市場とkWh市場における需要予測誤差の影響に関する簡易モデル分析」と題して電気学会 電力・エネルギー部門大会(第34回)にて報告しました。
本研究は、
・系統運用に必要な柔軟性調達の市場化が進展している(=需給調整市場の整備)
・国内では実需給の1週間前に需給調整市場を実施
・海外では前日~リアルタイムに実施するケースも
・実需に近い時点での需要・VRE供給量予測は 予測誤差がより小さい=より精度が高い
といった背景から、
・より精度が高い予測に基づいて柔軟性を調達することでより経済合理的に柔軟性を確保できるのではないか
という問題意識のもと、日本全国を対象に需給調整市場と前日市場を簡易にモデル化し、予測誤差が各市場での取引結果に与える影響を分析したものです。
分析からは、
・より精度の高い予測を用いることで費用効率的にΔkW・kWhを調達できる
ことが示され、
・より精度の高い予測に基づいた費用効率的な需給調整市場運用のため、需給調整市場での約定処理をより実需に近づけることが有効となる可能性
が示唆されます。
引き続き本モデルを拡張し、市場を通じた経済合理的なエネルギーシステムの脱炭素化について分析を進めたいと考えています。