事例紹介
2022.05.26
地域づくりに関わる事業による地域循環共生効果評価手法の開発

環境研究総合推進費実施課題(1-1902)「地域循環共生圏による持続可能な発展の分析手法の開発」(研究代表者:五味馨、国立環境研究所)におけるサブテーマ2「具体的事業の地域循環共生効果の評価手法の開発」について、小川がサブテーマリーダーを務め、持続可能な地域づくりに関わる事業が地域にもたらす効果を評価する手法(ツール)を開発するとともに、開発した手法を実際に行われている事業や計画・検討中の事業に適用したケーススタディを実施しました。

本研究では評価ツールとして、事業がもたらす地域への経済効果(地域付加価値)を中心に定量的な評価を行う「定量評価ツール」と、質的な効果を評価する「定性評価ツール」を開発しました。

 

定量評価ツールでは、事業によるキャッシュフローを出発点とし、関連する主体別に帰属する付加価値を集計することで、分析対象の事業によって地域にどれほどの経済的なメリットが生じるかを推計する地域付加価値分析を活用しています。

地域付加価値分析では、一般に「経済効果」を表す指標として用いられる経済波及効果と異なり、帰属する主体の購買能力向上に直接寄与する地域付加価値を出力することで、より実態に近い経済的なメリットを把握することが可能です。

この他に、定量評価ツールではエネルギー等の財についても地域間のやり取りを可視化することが可能となっています。

 

定性評価ツールでは、地域の持続可能性を表す指標に関する研究に基づき、事業と地域の持続可能性との関連を6分野26要素(下表)に分類し、各要素について事業による貢献の有無を定性的に評価することができます。

 

 

こうしたツールを活用して地域づくりに関する事業を評価することで、各事業がどのように、またどの程度、地域に貢献しているかを可視化することができます。

またツールによる評価や分析を通じ、より地域に貢献する事業へと発展させるためのポイントを明らかにすることも期待されます。

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