気候変動影響は地域によって異なる為、地域の状況に即した地域気候変動計画の策定や、適応策の実施が求められています。
2019年度までの3年間、国立環境研究所がテーマリーダーを務める環境研究総合推進費 (2-1708) 「適応策立案支援のための地域環境を考慮した多元的脆弱性評価手法の開発」の研究に参画しました。
その中で、気候変動によるリスクを評価するためのISO規格であるISO14091にて示される「Impact Chain*(インパクト・チェーン)」を用いて、気候変動適応計画の内容を基に、気候変動外力から影響が生じる際、どのような暴露が考えられ、どのような要素が脆弱性となり影響を増幅しうるか等を可視化・図示し、地域の脆弱性や気候変動適応策を検討する取り組みを行ってきました。国内の概要として、水稲、陸域生態系、洪水、熱中症などの20分野のインパクトチェーンを作成しました。
その経験を活かし、様々な機会で、自治体関係者、研究者、学生らと共に、ワークショップ形式等で対象とする地域の社会課題や気候変動影響、先進的な適応策の取組や、知見等を出し合いながら、地域の状況にあった気候変動適応策を考える取り組みを行っています。
ISO14091(Adaptation to climate change — Guidelines on vulnerability, impacts and risk assessment)にて提示されている「Impact Chain」は脆弱性指標を特定する際の考え方の一つを示しており、元々この手法を開発したドイツに留まらずヨーロッパ諸国やその他の国でも利用・言及されています。
URL: https://www.iso.org/standard/68508.html
推進費にて作成したインパクト・チェーン例(水稲分野)
2020年度、大学の授業にて留学生らと共にオンラインでインパクト・チェーンを作成している様子