本推計は環境省による「地方公共団体実行計画(区域施策編)策定・実施マニュアル 算定手法編(平成29年3月)」(以下、「マニュアル」という。)で示された方法を用い、公表されている統計から各地方公共団体におけるエネルギー起源二酸化炭素(CO2)排出量、およびエネルギー消費量を推計したものです。ウェブサイト上で公表しているデータより、さらに詳細なデータがご入用の場合はこちらからお問い合わせください。
マニュアルで示されているカテゴリA「都道府県別按分法」とカテゴリB「全国業種別按分法」を参考に、都道府県別エネルギー消費統計(経済産業省)を各地方公共団体の業種別製造品出荷額等で按分し、推計しています。 本手法では地域ごとに異なる産業構造を反映したCO2排出量やエネルギー消費量の推計が可能です。 業種別製造品出荷額等が公表されていない市町村については、当該市町村の従業者数と、当該市町村が属する都道府県の業種別製造品出荷額等や従業者数を用いて推計し、按分に用いています。 業種別製造品出荷額等や従業者数については、各年の工業統計(2021年度以降は製造業事業所調査)及び経済センサス(経済産業省)を参照しています。
本部門にはマニュアルの産業部門(建設業・鉱業)、産業部門(農林水産業)、業務その他部門が含まれます。 産業部門(建設業・鉱業)、産業部門(農林水産業)はいずれもカテゴリA「都道府県別按分法」を、業務その他部門はカテゴリA「都道府県別按分法」を業種別に適用し、推計しています。 これらの手法は都道府県エネルギー統計(経済産業省)を各地方公共団体の業種別従業者数で按分するものです。 業種別従業者数が市町村別に公表されている統計には、2008年以前は事業所・企業統計調査(経済産業省)、2009年以降は経済センサス基礎調査(経済産業省)がありますが、 いずれも毎年の実施にはなっていません。そのため2005~2008年の推計では2006年の事業所・企業統計調査を、2009~2013年は2009年の経済センサス(基礎調査)を、2014~2015年は経済センサス(基礎調査)を、それぞれ用いて推計を行っています。
マニュアルで示されている手法のうち、カテゴリB「都道府県別車種別按分法」を用いて推計しています。 本手法は自動車燃料消費量統計年報(国土交通省)の都道府県別の車種別燃料種別のエネルギー消費量を 市区町村別自動車保有台数(環境省が「部門別CO2排出量の現況推計」にて公表しているもの)を用いて按分するもので、 地域ごとに異なる車種別自動車保有台数の構成比を反映したCO2排出量やエネルギー消費量の推計が可能です。
マニュアルで示されている手法のうち、カテゴリA「全国按分法」を参考に、総合エネルギー統計を、地方公共団体ごとに集計した国土数値情報 駅別乗降客数データ(国土交通省)で按分しています。
ただし国土数値情報 駅別乗降客数データは2011年以降のみであるため、2010年以前の推計では2011年のデータを人口推移によって補正した値を按分に用いています。
※次の町村については2011年以降で町村内の駅について乗降客数データが公開されている期間が存在しないため、運輸部門(鉄道)の推計対象外としています。
北海道 新十津川町・青森県 蓬田村・青森県 階上町・岩手県 住田町・山形県 鮭川村・福島県 湯川村・福島県 柳津町・福島県 会津美里町・福島県 泉崎村・埼玉県 美里町・新潟県 刈羽村
マニュアルで示されている手法のうち、カテゴリA「都道府県別按分法」を用いて推計しています。 本手法は都道府県エネルギー消費統計を各地方公共団体の世帯数で按分するものです。 世帯数については住民基本台帳に基づく人口・人口動態及び世帯数(総務省)を参照しています。
マニュアルで示されている手法に沿って、焼却施設別の一般廃棄物焼却量とごみ組成に関するデータから一般廃棄物の焼却に伴うCO2排出量を推計しています。 一部事務組合や広域連合で廃棄物の広域処理を行っている場合は、一部事務組合や広域連合での焼却処理料を組合負担金で按分して推計しています。
名称 | 発行者 |
---|---|
総合エネルギー統計 | 経済産業省 |
都道府県エネルギー統計 | 経済産業省 |
工業統計 | 経済産業省 |
経済センサス(基礎調査) | 総務省 |
自動車燃料消費量統計年報 | 国土交通省 |
名称 | 発行者 |
---|---|
市区町村別自動車保有車両台数統計 | 自動車検査登録情報協会 |
市町村別軽自動車車両数 | 全国軽自動車協会連合会 |
部門別CO2排出量の現況推計 > 運輸部門 > 自動車 | 環境省 |
国土数値情報 駅別乗降客数データ | 国土交通省 |
住民基本台帳に基づく人口・人口動態及び世帯数 | 総務省 |
一般廃棄物処理実態調査結果 | 総務省 |
本レポートではAng(2015)に基づき、LMDI法(Logarithmic Mean Divisia Index Decomposition)による要因分解を行っています。 この方法では、各部門の基準年と比較した排出量増減を「活動量要因」「活動量シェア要因」「エネルギー効率要因」「エネルギーシェア要因」「排出係数要因」に分解することができます。 なお、本レポートでは、日本政府の約束草案に基づき、2013年度を基準年とした要因分解を示しています。 ただし、各部門においてそれぞれデータの制約が存在するため、次のような調整を加えています。
<産業部門>
製造業は製造品出荷額等のデータが存在するのに対し、非製造業(農林水産業、鉱業、建設業)は製造品出荷額等に相当するデータが存在しないため、
部門全体で共通して利用可能な活動量指標が存在しません。そこで製造業のみLMDI法による要因分解を行い、非製造業については排出量の変動分のみを示しています。
<業務部門>
業務部門には業種不明・分類不能なエネルギー消費量及び排出量が存在します。
しかし、業種不明・分類不能な従業者数のデータが存在しないため、部門全体で共通して利用可能な活動量指標が存在しません。
そこで業種不明・分類不能を除いた業種でLMDI法による要因分解を行い、業種不明・分類不能については排出量の変動のみを示しています。
<家庭部門>
家庭部門には産業部門や業務部門の業種に相当するような、家庭部門内部での分類が存在しないため、活動量シェア要因は除いた要因分解となっています。
<運輸部門>
自動車と鉄道では活動量指標が異なるため、部門全体での要因分解は困難です。
そこで自動車部門のみLMDI法による要因分解を実施し、鉄道部門については排出量の変動のみを示しています。
また、自動車は燃料消費統計に記載されているガソリン、軽油、LPGの消費量に一定の排出係数を乗じて排出量を求めています。
そこで自動車部門におけるエネルギー種はガソリン、軽油、LPGの3種としました。
また、エネルギー消費量あたりの排出量は時点によらず一定となっていることから、本推計においては排出係数の変動による排出量の変動が存在しません。
なお、LMDI法を用いて要因分解を行う場合、データの中にゼロが含まれていると計算ができなくなってしまうため、 Ang & Liu(2007)に基づき、要因分解の際にはゼロを極小値(10^-20)に置き換えて計算しています。
参考文献
Ang, B.W., (2015), LMDI decomposition approach: A guide for implementation, Energy Policy, 86,issue C, p. 233-238.
Ang, B.W. & Liu, Na. (2007). Handling zero values in the logarithmic mean Divisia index decomposition approach. Energy Policy. 35. 238-246.